失態 ~浦島太郎になったワタクシ
一時帰国し、数日が経ち、香港の癖も出ることなく、
普通の日本人として振る舞えていると信じていた矢先、
電子通貨でやらかした。
香港ではオクトパスと呼ばれる、日本でいうSuicaのような
カードを入手する際、デポジットを払う。
このデポジットはカードを返納する際に返してもらえるのだが、
デポジットを払っているので、マイナス決済ができる。
つまり、カード内に5ドルしかなくて、10ドルの決済がされても、
残金をマイナス5ドルとすることができるので、突然、
改札のゲートが閉じたり、後ろの人から殺意のあふれる目で
みられる必要がないのだ。
本日、バスに乗った際、「もしかしたら残金、もうないかも」と思ったのだが、
Suicaの残金がなくなるとどうなるか、すっかり忘れていたワタクシ。
バスの入り口でSuicaをかざし、我が物顔で後ろへ進むと、
妙に馴れ馴れしく人々がこちらを見つめ、話しかけてくるので、
ノイズキャンセラーばっちりのイヤフォンを外し、何かと思ったら、
「ご料金が不足しております」
と車内アナウンスが流れてきた。
マイクをオンにしたまま運転手は話し続け、
「10円足りませね」
というので、Suicaにて200円が決済され、
あと10円かと思い、慌てて10円を投げ入れると、
そんなわけなく、
「あと200円お願いします」
と、車内に響き渡る不毛な会話。
丁寧にもワタクシが座席につくまで発車を待った運転手さん、
皆様の発車時間を遅らせてしまい、いたたまれなくなった。
目的地にたどり着き、早速Suicaのチャージをしようとし、
とあるお店に入り、チャージをお願いしたら
「えぇ、、、と、、、こちらでチャージはできませんが…」
若干迷惑そうな顔をされ、差し出されたSuicaを
いそいそと財布へしまい一目散に逃げだしたワタクシ。
…ワ、ワタクシは田舎者じゃないワイ・・・
む、むしろ、ここは地元なんじゃい
と、心で叫び、次の場所へ。
無性にラーメンが食べたくなり、
昔よく通っていたラーメン屋へ。
また、我が物顔でズンズン進んでいくと、
店員さんが話しかけてきているのだが、
どーせ、何名様かだの、
いらっしゃいませだの言っていると
思ったのだが、イヤフォンを外してみると
「食券をお買い求めください」
と言われていた。汗
む、昔は普通にオーダーしていたのに…
そして、デパートへ行き、昔は高くて買おうなんて思わず、
贈り物で頂くのを楽しみにしていた某ブランドのケーキを購入しようと
赴いたのだが、どこにも売り場が見つからず、全く違う店で
「すみません○○ってどこにありますか?」と聞くと、
「もうこのデパートにはありませんよ」
と切り返される。
えぇ、皆様、とても親切で、優しいので笑顔で教えてくれますが、
皮肉の笑顔に見えてしまったワタクシは、
笑顔の習慣が薄れてしまった様子。
また、お気に入りのブランドの店は、自分の年齢には
全く合わなくなっていたり、ブランドそのものが
潰れてしまっていたり…。
家に帰る道で、小学生が下校していたのだが、
小学生のランドセルも異常にカラフルになっていることに気が付く。
また、通いなれた通学路の途中の建物も少しずつ変化し…。
ちょっとずつ自分が知っている街と変わってしまった印象。
こうやって自分もチョットずつ外側の人間になっていくんだなぁ…と実感。