横暴なテロ国家の暴挙
11月11日から明らかに警察の雰囲気が変わった香港。
前日、前々日にデモでオフィシャルに初めて人が亡くなったということが公になった直後である。本来であれば、そのようなことが起こらないよう通達が流れてもおかしくないものである。
・・・が、
その朝、警察はもはや躊躇いもなく実弾を3発発砲。
二発は人に当たり、重症となった。
その日の午後、外国人も多く働く香港の金融街、セントラルで、ランチタイムに出かけた人が大勢いる街中で、無差別にあらゆる人を狙った催涙弾を警察が発射。逃げまとう人々にほくそ笑む警察。
ワタクシも近くに居合わせており、悲鳴が聞こえて慌てて走り去った次第である。
結果、会社から帰宅するように促されるも、交通手段が麻痺してしまい帰宅難民になり、会社経費でタクシーで帰宅。
翌日から一週間、在宅勤務が始まったのである。人と会わないことがこんなにストレスになるかと思うほど、部屋にいればいるほど不安は募っていく。
同じ頃、香港中文大学で勉強をしているワタクシの友人Sは渦中になった大学のグランド脇の寮から、警察が進入してきたのを目撃していた。
警察の言い分では、近くに通る高速道路へここの大学生が何かを投げ入れ、混乱を招いた。調査のために大学内へ入ると、グランドで大規模なデモ活動をしており、抵抗してきたので「仕方なく」催涙弾「等」で応対せざるをえなかった…という。
ところが、後に大学の職員がフェイスブックにも投稿していたし、友人Sも証言をしていたのだが、高速道路へ何かを投げ入れたなんて事件はまず、警察のでっち上げ。その日は普段どおり、大学で授業が行われており、グランドでデモ活動をしている人なんて誰もいなかった。ところが、警察が大学側の許可を取らずに勝手に押し入ってきて、無差別にそこらじゅうにいた生徒達に催涙ガスを放ち始めたという。
…警察の狙いは恐らく当大学にある香港の99%を占めるインターネットのサーバーで、それを横取りするために難癖をつけて押し寄せてきたのだという。
ちなみに13年前くらい、ワタクシもこの大学で夏季の講習を受けたことがある、思い入れの深い大学である。
結局その日、5ヶ月間続いたデモ活動弾圧のために使用された催涙弾の総量よりも多い数の催涙弾が1日の間で使われ、大学および周辺地区は完全に汚染がされ、小鳥などの小動物や川を泳ぐ魚などの死骸が多数目撃されたという。
ちなみに友人Sは日本人留学生とルームメイトだったというが、その子がどうなったかはわからない。とにかく着の身着のまま逃げ出し、兄弟が運転する車に飛び乗り逃げたのだという。
その日、上空では人民解放軍のヘリが常駐していた。
催涙ガスをただ、目潰しに使えるガスと思ったら大間違いで、今、香港ではクリニックや病院で、湿疹、肌のかぶれを訴える医者が大勢いる。ワタクシも身体中に湿疹ができ、痛くもかゆくもないが、とにかくただれ、皮がむけ、ブツブツができ、恐ろしい思いをした被害者の一人である。
ちなみにワタクシは、デモは常に避けるし、なるたけ近寄らない。考えられるのは浮遊・残留する催涙ガスを吸った可能性があるということ。老人子供など、免疫力の弱い人が吸うと致命的になる可能性すらあり、参加していない人も軒並み巻き込まれている惨事である。
1週間、誰にも会えず、情報交換もできず、ただただネガティブなニュースが舞い込み、外からはサイレンの音と悲鳴が聞こえてきて、日本からは家族や友人が心配のメッセージを送ってくる。
・・・精神的に大丈夫なわけがない。
ワタクシは一体こんなところで何をやっているのだろうと繰り返し考えることになるのだった。
そして、舞台は香港理工大学へと移る。ここはワタクシがこの6年間くらい、毎朝・毎晩、通勤・帰宅時に通り過ぎた大学で、ここが渦中になり、もちろん通行止めになった。
あらゆるニュースを調べてみたが、これはもはや現代版・香港版の天安門大虐殺である。警察の攻撃はもはや逮捕・鎮圧を目的としておらず、デモ隊の殺害が目的となった攻撃を続けているのである。
怪我をしている市民がいても、救助隊を妨害、妨害どころか逮捕。救急車で運ばれていても、機動隊が道をふさぎ、乗り込み患者を逮捕。逮捕し、無抵抗になったデモ隊を複数で血だるまにし、治療を受けさせずにそのまま拘束。
さらに、
つい先日、その日は中国へと続く電車が一般客向けには停止になっていたのであるが、拘束されたデモ隊が次々と中国へ向かう電車に乗せられている映像が流出した。
そもそもことの発端は逃亡犯引渡し条例の撤回にあり、このふざけた条例は、多くの犠牲を出した後、公式に撤回されたのであるが、まさについ先日、逮捕されたデモ隊が、起訴、裁判をする前にすでに大勢中国へと送られて行ったのである。
これをうけ、アメリカでは事実調査を本格化させ、香港人権民主主義法案の可決を最終段階へと持ち込んだ。あとはトランプがサインすれば可決である。
時を同じくし、イギリス、オーストラリア、カナダでも同様に中国への圧力をかけるための動きを進めている。
ちなみにこの香港人権民主主義法案であるが、これは、香港の民主主義を脅かすものを個人レベルで識別し、
- アメリカへの入国拒否
- アメリカで所有している資産の凍結
- 香港へ提供している特別優遇政策の停止
などから始まり、、、
・・・やがては、国際社会において金融システムから中国を締め出すところまで想定に入れているらしい。
現在、中国の経済の崩壊は昨年くらいから本格的に始まり、今現在は中共が必死にひた隠している状態である。このような状態で上記のような法案はとどめになりかねない、引き金になりかねないとても強烈な一手となるのである…
…が、
正義より自分の面子が何より大事な、核を保有している中国が、ただ、黙って降参するとは考えられず、。ワタクシは恐らく「アメリカによる宣戦布告だ」だの何だの言い出し、武力行使に踏み込みかねないのではないかと思っている。
…もはやまともに話の通じる国家ではない。
現代社会の武力が正面から全力でぶつかれば、文字通り世界は木っ端微塵に吹っ飛ぶくらいの威力があるだろうと思われる。
不意に、その昔、アインシュタインが「第二次世界大戦では原子爆弾が兵器として利用されましたが、第三次世界大戦が起こったら、どのような兵器が使われると思いますか?」というインタビューにて「第三次世界大戦についてはわかりませんが、第四次大戦ならわかります。石と棍棒でしょう。」と答えたのを思い出したワタクシ。
…あるいはそんな未来も遠くないのではないかと思い始めた今日この頃なのである。
なんにしてもこれだけ虐げられた人間達が、完全に体制が変わったからといって、憎悪を拭い去れるはずもなく、鎮圧されたところで長期にわたり、中国・共産党を憎む人達というのが一定数香港にい続けることになるんだろうなと思う。
加えてこの催涙ガスによって汚染された土壌と海の水…。
もうワタクシが好きだった香港の街は戻ってこないとただただ確信したのであった。