香港での出会いと別れ
香港にしばらく住んでいると、
当然のことだが、友人ができる。
同じく日本から来た者、
あるいは、他の国から来た者、
そして、香港人。
こんな小さな街に、ある意味、世界中から
少しずつ色んな人が集まって、
日々、出会いと別れが繰り返されている。
日本にいた時には知り合ったり、接したりする
機会すらなかったであろう外国の人とも、
香港にいると、ある種「外国人同士」というくくりで
香港とそれぞれの自国を比べた話なんかをしつつ
つるめたりもするものである。
日々、様々な災難に巻き込まれているワタクシは、
自国では起こり得ない事態が目の前で起こった時には、
やはり愚痴をこぼす。こぼしたくなる。
…が、しかし
こんなワタクシでも、仲の良い香港人を目の前にして、
露骨に悪口を言えるほど神経が野太くはない。
故に、いつもつるんでいるのは主に以下の4グループである。
1、日本人
2、香港に暮らす日本人以外の外国人
3、香港生まれだが海外で育った海外国籍の香港人
4、海外にいつかは出ていきたいと望んでいる香港人
しかし、上記のグループの人間というのは、
早かれ少なかれ香港を去るものが多い。
日本人も北海道から沖縄まで、日本全国からきているわけで、
彼らが本帰国をした後、自分が日本へ帰ったからといって、
日本で会えるかといえばそうではない。
香港に暮らす外国人とて、いつかは家庭の事情や
仕事の事情によりワタクシの訪れたこともない
別の国に移る可能性は大いに高い。
海外育ちの香港人もしばらくは香港にいるが、
この窮屈さから、将来は自分が育った街に帰りたい…
という人や、まだ家族が海外に住んでいる人も多い
そして海外移住を夢見ている香港人は、
もちろん海外へ移住することを目的としているので、
いつかは香港を離れていく。
当たり前だけど、みんなどこかに帰る場所や、
目的地があって、今、たまたま偶然同じタイミングで
香港に暮らしているというだけで、
いつかは去っていく友人がほとんどである。
香港に来た時はそんなこと、意識もしなかったが、
ここ数年で色んな人が香港を去ってしまったなぁ…と痛感する。
そして、ワタクシの中で「香港といえばこの人だろ」と
思うような人すらも香港を離れていくのを見ると、
時間の経過というものを思い知らされる次第である。
幼い頃、転勤族の親に連れられ引越し、転校を繰り返してきた
ワタクシは、サザエさんのように何年経っても変わらない日常
というものに憧れていた。
目まぐるしく変化する香港では、
街並みも変われば住む人たちもドンドン移り変わっていく
この街では、全く真逆の生活を強いられることになっているのだが、
ワタクシは、いつまでここにいるのだろう…
…と、思いつつ、また1年が経ち、
新たな友人を見送ることになるのである。