食べたいものを、
食べたいだけ、
食べたいときに、
食べて、寝る。
これぞワタクシの旅行の醍醐味。
が、休暇から戻るともちろん現実・日常生活が待っている。
とりあえず体重計に恐る恐るよじ登り、
当たり前の増量に若干ビビる。
他人事のようにビビッて見る。
世界の七不思議。
10kg瘦せても回りは気付かないが、
3kg太ると回りは気付く…。
1週間強、自堕落な生活に身を任せ、
糖質・グルテン・脂質とこよなく戯れ、
エクササイズなんてすっかり習慣から
すっかり抜けてしまったこのワタクシを、
同僚の女王N子が見過ごすはずがない。
*N子、久しぶりの登場である。
出社し一言目「あら~お帰り~楽しかった?バケーション。」
「は、、、はぁ・・・楽しかったです~」
と返事をするもつかの間
「でしょうね、お腹の辺りと顎の辺りに緊張感がなくなったみたい。
おまけに肌つやも…添加物が体内から脱出を試みているみたいだけど…。」
…それはすなわち、たるんで、肌荒れしているという事に他ならない。
褒める時も貶す時もN子はエレガントである…
…が、同時にストイックでもある。
そして、やはり今日も鞭を振るうのである
「さ、始めるわよ、マスタークレンズ。
きっと旅行で毒素をためて戻ってくると思って待機してたの。」
…色々読まれている。
マスタークレンズとは、水にレモンとメープルシロップ、
カイエンペッパーでレモネードを作り、
それだけで数日過ごすというものである。
飲む量は自由。ただし、それ以外は口にせず、
溜め込んだ毒素を身体から
たたき出すと言うデトックス方法である。
…かくして、NとN子のマスタークレンズが始まったのである。
早速、指示を受け、水筒とメープルシロップを購入し
出社したワタクシ。
ド・ローカルなエリアに住むワタクシの近所に、
オーガニックなメープルシロップなんて売っているわけもなく、
成分の怪しい中国で砂糖から作ったような蜂蜜みたいなものしか
見当たらない中、比べに比べて一番マシそうなものを購入。
一方その頃、外国人が多く住むエリアに住むN子は
ワタクシが購入したボトルが5本は買えそうな値段の
カナダ産のメープルシロップを購入。
…同じ会社で働いていながら、この格差…。
朝っぱらからボトルにレモンを絞り水を入れ、
なにやらシェークをしている姿を見た香港人が
こぞって興味を示し、にわかに「私もやる~!!」
とクレンズに参加。
…が、数時間後、早くも弱音を吐き始める。
朝から、焼きそばだのウインナーだの割かし
ジャンキーなものを食べてる香港人には
いささかきつい様子。
「きついよね~…チョットスナック食べちゃおうか??」
なんて香港人に賛同しようとしたワタクシを
遮るかのようにN子が言い放つ…
「ま、にわかに決意して参加した、我慢する事を知らない
ミーハーな彼女たちには無理みたいね」
…慌てて「チョットスナック食べちゃおうか」提案を飲み込むワタクシ。
とにかく空腹をごまかすために、
レモネードをがぶ飲みし続けたところ、
段々寒くなってきたような…
…そして、チョット頭痛も感じるような…
何より、甘いものへの欲が、ヘロイン中毒者のように…
チョコレートやらクッキーやらを求め指先が
引き出しへと向いてしまうのである。
とりあえず弱音を吐き、リタイアを認めてもらおうと思ったワタクシ。
そんなワタクシにN子は目を輝かせ
「それよ!今こそ、毒が身体から抜けようとしている印し!」
「体内の毒が減ってきたから補おうと働きかけてるのよ!!」
「効果が出始めたわね…さ、これからよ!」
…と、デトックスの醍醐味であるかのような
アドバイスを受け辞められず…。
気づけば定時を過ぎ、家に帰ると、
「ここまで頑張ったのだから今日は食べない!」と、
レモネードを1リットルくらい飲んだ後、
疲労感から早々にベッドに転がり込む。
恐らく身体は省エネモードとなり、
夜7時、8時頃だったが、翌朝まで途切れることなく
眠り続けるのであった。